Pressure-volume index (PVI) に影響を及ぼす頭蓋内因子に関する実験的・臨床的研究
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概要
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頭蓋内圧・容積関係を示す指標としてのPressure-Volume Index (PVI)に影響を与える頭蓋内因子に関して実験的,臨床的研究を行った。1)動物実験:正常成猫28匹を7匹ずつ4群に分け,norepinephrine,dopamine,hypercapnia,hypocapniaのPVIに及ぼす影響を調べた。norepinephnneではPVIは増加し,dopamineでは減少した。またhypercapniaではPVlは減少しhypocapniaでは増加した。以上の結果より,PVIに対して脳血管系,特に脳動脈の影響が強く示唆された。一方,ステロイドおよびグリセロールのPVIへの影響をみたところ,両者とも頭蓋内圧の低下とともにPVIの著明な増加が認められ,これらの薬剤の頭蓋内圧上昇に対する緩衝予備能の改善作用が示された。2)臨床研究:18歳から78歳までの交通性水頭症48例におけるPVIを検討した。平均PVI値は20.5±10.75mlで正常成人と比べやや低い値であった。年齢とPVIとの関係では加齢とともにPVIは減少した。基本圧とPVIとは相関関係は認められなかった。脳室拡大の程度との関係では,Evans' ratioが大きくなるほどPVIが減少するという相関関係がみられた。脳溝拡大の程度とPVIとの間には相関関係は認められなかった。CT cisternographyにおける髄液循環障害の程度とPVIとは相関関係はなかった。これらの結果より交通性水頭症においては年齢および脳室拡大の程度がPVIに強く影響を及ぼすものと思われた。