鉄道事業における株主価値経営の現状と課題 : JR旅客各社の財務諸表分析に基づく考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
鉄道事業の重要な使命は, 路線ネットワーク維持などの「公益」の提供にあるものの, 株式会社形態をとる鉄道事業者には株主価値追求をはじめとする「私益」の追求も求められる。少しでも収益性を高めるために, 不採算路線からの撤退を加速させつつある。JR本州3社は, 分割民営化後の経営努力により, 大手私鉄を超えるパフォーマンスを上げている。しかし, JR三島会社は未だに国からの支援によって経営を存続させているのに過ぎない。JR旅客各社は発足時に, それぞれ赤字ローカル線の維持が可能となる仕組みが整えられていたのに対して, JR以外の地方中小私鉄や大手私鉄の赤字ローカル線には, 国のよる統一的支援の制度はなく, 各路線ごとに存廃の議論がなされている。現状では, 鉄道事業の存廃が, 単に会計上の損益だけで判断されている。地方中小私鉄や大手私鉄の赤字ローカル線にも, JR三島会社への支援策と同等の支援スキームを整備することが望まれる。
- 2005-10-28