小売業における人的資源管理 : 食品スーパーマーケット業界を事例として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
食品スーパーマーケット業界ほど環境適応を求められる業界は珍しい。日々の天候・テレビ番組・地域行事などへの機敏な反応ができるかどうかが経営を大きく左右する。経営陣による決定を待つことなく、売場に立つ従業員がいかに微細な変化を感じとり、臨機応変な意思決定ができるかが重要なファクターとなる。しかし、効率重視の雇用とマニュアル化が従業員の能力の発揮を阻害し、また変化対応を育成する環境は未整備のままである。いま顧客が求めているモノはなにか、どう提供すれば売れるのか、こうした気づきと具体的行動の促進には「模倣」と「共体験」が必要である。優秀な従業員の動きを「模倣」することによって俊敏な判断と臨機応変な意思決定を体得し、共に同じ課題に取り組む「共体験」を通じて目的意識や達成感が共有される。めまぐるしい変化適応を求められる一方で、「惰性」に埋没しがちな小売業において重要なのは、規模の経済よりむしろ、売場に立つ従業員への環境整備なのである。
- 2005-10-28