癌化学療法における perfluorochemicals 乳剤 (fluosol-DA) の有用性に関する実験的検討
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概要
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癌化学療法時に制癌剤の抗腫瘍効果を増強する目的で. perfluorochemicals (PFC)乳剤を常気圧高酸素下に併用し腫瘍増殖に及ぼす影響について検討した。雄ドンリュウラットを用い,背部皮下にラット腹水肝癌AH130. 吉田肉腫,佐藤肺癌の3種類の腫瘍細胞を移植した。各々の担癌ラットをi)対照群 ii)PFC乳剤酸素投与群 iii)抗腫瘍剤単独投与群 iv)抗腫瘍剤およびPFC乳剤酸素併用群に分け,腫瘍重量の変化を比較した。AH130癌腫については3^H-SPMの取り込みを測定しPFC乳剤併用による抗腫瘍剤の組織内濃度の変化を検討した。PFC乳剤の腫瘍血行動態に及ぼす影響について,腫瘍組織の酸素分圧,血流量測定およびmicroangiogramを作製し比較検討した。PFC乳剤併用化学療法の効果を腫瘍重量でみると,SPM投与時のAH130癌腫で有意な減少(p<0.05)を,VCR投与時のAH130癌腫で減少傾向(p<0.10)を認めたのに対し,吉田肉腫や佐藤肺癌では効果がなかった。AH130癌腫内への3^H-SPMの取り込みでは, PFC乳剤併用による明らかな影響はみられなかった。また, PFC乳剤により腫瘍組織の酸素分圧および血流量は増加したが,癌腫による差はなかった。微小血管の造影はPFC乳剤酸素併用によってAH130癌腫では増強される傾向を示したが,その他の癌腫ではAH130癌腫に比し増強効果が不良であった。以上より,ある種の腫瘍ではPFC乳剤の有する酸素運搬能と腫瘍組織を含む末梢血流改善作用が化学療法の効果を増強しうると考えられる。すなわち,好気的条件下で効果を有する抗腫瘍剤に感受性があり,腫瘍血管の多い腫瘍には,酸素呼吸管理下のPFC乳剤併用は有効である。
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