ホームレスに対する自立支援システムの構築に関する基礎的研究
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概要
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本研究は,ホームレスの人々のニーズは何か,自立に向けての具体的支援は何かについて明らかにすることを目的とした。対象者は札幌市の路上生活者(調査1:24名,調査2:42名)。質問紙調査として,(1)現在の生活状態に関する調査及び(2)精神的健康に関する調査を行い,また9名に対して過去ならびに現在の生活状況を問う面接調査を実施した。質問紙調査から,(1)40代と50代の男性が多く,若年化傾向があること,(2)一日の食事回数はわずかに1回から2回,(3)3分の2以上が精神的問題をかかえていること,(4)ほとんどが北海道出身であり,他の土地へ移ることは考えていないこと,(5)具体的な支援としては,第一に生活する場所,第二に仕事の紹介が求められていることが明らかとなった。また面接調査から,(1)生活の拠点を確保することがまず求められること,(2)そのためには生活保護の申請をサポートし,生活保護適用後のフォロー,就労に向けてのサポートが必要であること,(3)治療を目的とした医療機関,借金の返済等の問題に関して法律機関との連携が必要であること,(4)行政機関による生活支援(食事・衣服等の提供)がない現状において,民間支援団体による継続的なサポート,情緒的サポートが有効であることが明らかとなった。
- 2004-10-31