物質的想像力と認識論的障害
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は、バシュラールが『水と夢』において提起した物質的想像力および物質的イメージという概念についての解釈を、『科学的精神の形成』に見られる認識論的障害との関係において試みるものである。『水と夢』において、質料(matiere)と形相(forme)という歴史的な対概念を踏まえて提起された物質的想像力および物質的イメージは、この対概念に基づくだけではその輪郭が十分見えてこないように私には思われる。そこでまずはじめに、前提となる質料と形相という枠組みの中での物質的イメージの理解を試み、それが不十分なものであることを示す。続いて、バシュラールの科学論および認識論的障害の議論を参照することによって、それらの議論が物質的イメージの理論と相関関係にあることを示す。加えて認識論的障害が物質的イメージの普遍性を支持するものとなるという解釈も提示する。
- 2004-07-31