障害児の子育て支援と療育における絵本の役割:コミュニケーションの力をひろげる(<特集>コミュニケーションの発達と指導)
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概要
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障害児の子育て支援として絵本の果たす役割は大きい。しかし家庭だけの努力では、絵本の楽しみ・喜びを手にすることは困難であり、そこに障害児施設の専門性が求められる。障害の重い子どもも、多動で言葉とコミュニケーションに障害がある自閉症の子どもも、絵本から題材をとったミュージカル仕立ての動きのあるペープサートや人形劇のおはなしに興味をもち集中する。それをきっかけに題材になった元の絵本を好きになっていく傾向が強い。施設で園文庫を設置して、毎日貸し出しをするなど家庭での絵本の読み聞かせの動機を高めると、良い循環を形成する。ことばの理解やイメージの拡がりに強い制約をもつ自閉症児でも、絵本を楽しむなかで人とのやりとりを楽しみ、コミュニケーションの力をひろげていく。すべての障害児に豊かな育ちを保障する内容に、絵本の楽しみが含まれる。