ヒト由来骨芽細胞様細胞株 Human osteosarcoma cell line (HOS) に対する持続的圧縮力の及ぼす影響
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概要
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本研究において矯正力によって生じる圧迫側を再現する持続的圧縮力の培養系を示し, HOS細胞に対する持続的圧縮力の及ぼす影響について検討し, 次の結果を得た.1. HOS細胞のアルカリフォスファターゼ活性は, 0, 1, 5, 10, 20g/cm^2の持続的圧縮力において10g/cm^2が最も高い値を示した.2. 10g/cm^2の持続的圧縮力を加えたときのHOS細胞のアルカリフォスファターゼ活性は培養1, 3, 6, 12, 24時間後まで経時的に上昇し, 各時間で対照群に対して有意に高い値を示した.3. HOS細胞の細胞形態は, 持続的圧縮力によって細胞突起の退縮が観察された.4. HOS細胞のDNA合成能は, 持続的圧縮力によって有意に抑制された.5. HOS細胞のタンパク質合成能は, 持続的圧縮力によってコラーゲナーゼ消化性タンパク質およびコラーゲナーゼ非消化性タンパク質がともに抑制された.6. HOS細胞の培養上清中の産生タンパク質は, 持続的圧縮力によって約25種類程度バンドの増加が確認され, 分子量10, 000から45, 000の間に特に多くのバンドの増加が認められた.以上の結果から, 持続的圧縮力はHOS細胞の細胞内基質合成には抑制的に作用するが, 細胞を活性化させ骨吸収活性を有すると考えられる液性因子の産生に促進的に作用することが示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
- 1997-04-00
著者
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