人為的骨性癒着歯に対する顎整形力の適応について
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概要
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歯の再植により骨性癒着が生じることは広く知られている.本研究では顎整形装置の維持歯として再植歯を用いることにより, 顎整形力の効果を高めることができるかどうかを急速拡大装置を用いて組織学的・形態学的に検討した.実験動物として雑種成犬16頭を無処置群, 再植のみ群, 再植拡大群, 拡大のみ群に分けて用いた.再植法として左右上顎犬歯を抜歯し, 10%次亜塩素酸ナトリウム溶液により歯根膜を除去した後, 再植する方法をとった.急速拡大のため, 犬歯のみを維持歯としてスクリューのついた急速拡大装置を装着し, 1日0.44mmずつ10日間拡大した.結果は以下の通りである.1. 再植8週後, 再植した全ての歯で著しい動揺度の減少が認められた.2. 再植のみ群, 再植拡大群でみられた歯根吸収は置換性吸収であり, 歯根吸収が生じた部分は骨組織で置換されるため広範囲の骨性癒着が認められた.3. 再植拡大群で拡大開始前に骨性癒着していた部分は拡大中も維持されていた.4. X線所見および組織学的所見より再植拡大群の口蓋縫合部は拡大のみ群に比べかなり拡大しており, 著しい線維の伸展が認められた. 以上より, 本研究で行った再植法により置換性吸収を生じさせ, 歯を骨性癒着させる方法は固定歯が少数であっても顎整形力を有効に顎骨に伝達できることが示された.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
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