Abiotrophia属の実験心内膜炎誘発能とフィブロネクチン結合能
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概要
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Abiotrophia属(いわゆるnutritionally variant streptococci ; NVS)はヒトの口腔常在菌であり,感染性心内談炎の原因ともなる。本研究では,健常人の口腔や心内膜炎患者の病巣あるいは血液から分離されたAbiotrophia 25株について,ラット心内膜炎誘発能と細胞外マトリックス(ECM)およびその構成タンパク成分に対する結合性との関連性を検討した。血清型1のA. defectivaおよび血清型2-5と3のA. adiacenは高い心内膜炎誘発能を示し,一方,血清型4と6のA. adiacensおよびGemella-like NVSは概して低い心内膜炎誘発能を示した。心内膜炎誘発能とECM,特にフィブロネクチン(FN)結合能との間には有意な正の相関が認められた。血清型1のA. defectivaと血清型2-5と3のA. adiacensにおいて口腔由来菌株と心内膜炎由来株は,ほぼ同等の心内膜炎誘発能およびFN結合能を有していた。高い心内膜炎誘発能やFN結合性を示したA. adiacens ATCC49175株の超音波抽出物から,FN受容体と考えられるタンパク質を分離した。本物質は由来菌株のみならず,同種の異菌株,さらに異種・異属の菌株の示すFN結合能をも阻害した。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 1999-01-30