ラット口蓋粘膜瘢痕組織の微細構築と力学的特性
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概要
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ラット口蓋粘膜瘢痕組織と正常口蓋粘膜の粘膜固有層における微細線維構築の相違とその力学的特性について検討した.形態観察より正常口蓋粘膜の微細線維構築は, 前後方向のコラーゲン線維束とそれに交差する線維束より成る網状を呈しており, 立体的に交織を成していた.口蓋粘膜瘢痕組織は, その形成過程において, 創縁部に形成された一定の方向性をもつ線維からなる乳頭状の線維束が創中央へと突出し, 次第に創面を被覆した.最終的に形成された口蓋粘膜瘢痕組織では, 正常粘膜-瘢痕組織移行部から創中央に向かって集束し, 放射状に配列する束状の線維構築を形成していた.引張試験より求めた力学的特性では, 正常口蓋粘膜に対して口蓋粘膜瘢痕組織が引張強度, 弾性係数ともに有意に高い値を示した.また, 破断ひずみにおいては有意に低い値を示した.すなわち, 口蓋粘膜瘢痕組織は正常口蓋粘膜に比較して, 強さと非伸展性を合わせもつ組織とみなすことができ, この力学的特性の差は粘膜固有層の線維構築の相違によるものと示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
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