幼稚園児におけるう蝕予防の試みと砂糖摂取量がう蝕罹患に及ぼす影響について
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概要
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広島市内の幼稚園児約100名(初診時年齢3〜4歳)について,乳歯う蝕予防を試み,2年間追跡した。実験群の園児に対して年2回,フッ化物を塗布した。保護者に対してはう蝕予防に関する講演と,食事調査票を用いて砂糖の摂取制限の個別指導を行った。食事調査は,砂糖の摂取量算出を目的としたため,3日間の記録法を用いた。砂糖の摂取状況とう蝕罹患の関係について分析した。その結果,実験群では1年後に食事調査票上で砂糖摂取量の有意な減少を認めたが,対照群と比較してもう蝕抑制はみられなかった。また,3〜4歳児における砂糖の摂取状況とう蝕有病状態,その後のう蝕発生との間に有意な相関を認めた。しかも,栄養学的に妥当とされている量の砂糖を摂取している園児(1日20g以下)では,う蝕の発生が抑えられていた。しかし,4〜5歳での砂糖摂取状況とう蝕との間には相関はみられなかった。以上より,次のような結論を得た。1. 講演,ブラッシング指導,フッ化物塗布によるう蝕抑制効果はみられなかった。2. 乳歯う蝕を抑制するためには,4歳以前から砂糖の摂取量を抑えることが必要であり,1日あたり20g以下が目安となることが示唆された。3. 3〜4歳児の砂糖摂取量を調べることによって,その後のう蝕増加を予想できる可能性が示唆された。
- 1997-10-30
著者
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