成人歯肉由来ケラチノサイトのカドミウムによるメタロチオネインの誘導合成
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概要
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ドミウムの生体に対する影響は,その主な標的臓器が腎臓であることから腎臓あるいは腎臓由来細胞を用いた報告が多い。一方,カドミウムの口腔内組織におよぼす影響については,高濃度カドミウムの慢性曝露時にみられる切歯および犬歯歯頭部黄色環以外はほとんど知られていない。また口腔内軟組織についての報告も散見するにすぎない。そこで本研究は口腔内軟組織に与えるカドミウムの影響を調べる目的で成人歯肉より分離したケラチノサイトを用いてメタロチオネイン誘導合成との関連性から検討した。その結果,カドミウム曝露により成人歯肉由来ケラチノサイトは10^<-4>mM Cd群以上で濃度依存的に細胞増殖とDNA合成が抑制されるが,10^<-6>mM Cd群と10^<-5>mM Cd群ではタンパク質合成が先進し,この濃度でメタロチオネインの誘導合成も先進することが認められた。また,成人歯肉出来ケラチノサイトの増殖を著しく阻害するような高濃度カドミウム曝露では,メタロチオネイン誘導合成が抑制されることが示唆された。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 1995-07-30