鹿児島県の戦前・戦後生まれ世代における歯冠の大きさの世代変化と地域差
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概要
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第二次世界大戦を挟む世代における歯冠の大きさの世代変化と地域差を検証するため,鹿児島県の都市,農漁村,離島に住む戦前生まれから戦後生まれまでの10年間隔の5世代の男女661人について,歯冠の大きさの世代変化を調べるとともに,世代要因と地域要因,ならびに身長の世代変化との関連を解析した.歯冠近遠心径では鹿児島市の男子と徳之島の女子に有意な世代変化があり,歯冠頬舌径では鹿児島市の男子,坊津町の男女,徳之島の男女に有意な世代変化があった.いずれも戦前生まれの第I+II世代と終戦前後生まれの第III世代では小さく,戦後生まれの第IV,第V世代では大きかった.歯冠計測値の世代変化に及ぼす世代要因の効果は,男子では歯冠頬舌径に,女子では歯冠近遠心径と歯冠頬舌径に有意であった.一方,地域要因の効果は,男女とも歯冠近遠心径と歯冠頬舌径に有意であった.そして両要因の交互作用は,女子の歯冠頬舌径のみに有意であった.歯冠近遠心径と歯冠頬舌径の1歯当たり計測値は男女とも身長と有意な相関があり,身長の世代変化にかかわる環境要因の変化が歯冠計測値の世代変化にも影響を及ぼしたことが示唆された.(Orthod Waves-Jpn Ed 63(1):11〜22,2004)
- 日本矯正歯科学会の論文