長期間経鼻チューブ栄養だった仮性球麻痺を呈する一症例の摂食・嚥下障害に対する継続した取り組み
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概要
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今回, 摂食嚥下障害の一症例に対し2年間にわたり継続した取り組みを行ない, アプローチ手法を三段階に分類し検討した。症例は92歳の女性で, 脳梗塞にて仮性球麻痺となり, 誤嚥性肺炎を患い, 覚醒が悪く経鼻チューブ栄養であった。第一段階(2001年12月〜2002年11月)では, 嚥下評価を行ない嚥下反射が認められ, ポジショニングなどの代償的手段や介助誘導を講じることで, 安全な経口摂取が可能となった。ところが覚醒の低下による摂取量の減少が問題となった。そこで第二段階(2002年12月〜2003年5月)では, 覚醒を上げる目的で, 咀嚼運動を誘発した。さらに食材の感覚情報に関する知覚課題を与え, 知覚探索を惹起することで, 麻痺側の口腔機能の改善がみられた。第三段階(2003年6月〜2003年12月)では, スプーンでの自己摂取を目標に, 口唇の触圧覚に関する知覚課題を実施した結果, 頭部のコントロールが可能となり, 上肢との協調した働きも一部可能となった。仮性球麻痺による摂食嚥下障害に対する理学療法について, 具体的な課題をもつ食事場面において, 介助誘導を施すだけでなく, 認知的側面を考慮したアプローチの有用性が示唆された。
- 社団法人日本理学療法士協会の論文
- 2005-02-20
著者
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高井 逸史
寺田萬寿病院リハビリテーション科
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山口 武彦
寺田萬寿病院リハビリテーション科
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村上 将典
寺田萬寿病院リハビリテーション科
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山地 純子
寺田萬寿病院リハビリテーション科
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村上 将典
寺田高寿病院 リハビリテーション科
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山口 武彦
大阪物療専門学校 理学療法学科
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山口 武彦
寺田萬寿病院 リハビリテーション科
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