歯周組織創傷治癒過程におけるエナメルマトリックスタンパク質の上皮細胞の動態に及ぼす影響
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概要
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本研究の目的は,歯周組織の創傷治癒過程における上皮細胞の再生に対するエナメルマトリックスタンパク質(以下EMPと略す)の影響を検索することにある。上皮細胞の増殖能を検索するためにPCNA免疫組織化学的染色を,また,創傷治癒過程における基底膜の分布を検索する目的でラミニン免疫組織化学的染色を施した。本実験には,ウィスター系ラットを40匹使用した。第一臼歯の口蓋側歯槽骨を除去後,露出根面を注意深くルートプレーニングし,セメント質を除去した。露出させた歯根面をpH1のクエン酸溶液に浸潤させた綿球で15秒間エッチング処理し,その後生理食塩液にて洗浄した。次に実験群である左側第一臼歯にEMPを塗布し,対照群である右側第一臼歯はエッチングのみとした。その後,弁を復位した。術後,1週,2週,3週,4週,8週目に屠殺し,顎骨から組織標本を採取した。連続切片を作製し,へマトキシリン・ェオジン染色およびPCNAとラミニンの免疫組織化学的染色を施した。実験群の再生付着上皮率は対照群と比較して術後1週から8週で統計学的に有意に少なかった(p<0.05)。再生付着上皮におけるPCNA陽性細胞率では,対照群では術後l週から4過において実験群と比較して高く,特に術後3週と4週で有意に高かった。ラミニンの局在は,実験群では術後1週から4週にかけて付着上皮の基底膜相当部に認められず,対照群では早期から付着上皮の基底膜相当部に認められた。本研究の結果からEMPは,上皮細胞の増殖抑制因子として作用し,上皮の根端側方向への増殖を抑制することが示唆された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 2001-12-28
著者
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