口腔内物質による Prevotella intermedia の増殖への影響とその解析 : ムチン, アルブミン, グルコースについて
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概要
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歯周病病因菌の一つとして Preovotella intermedia があげられる。本研究の目的は,P. intermedia が口腔内由来タンパク質であるアルブミンやムチンを増殖に利用できるかどうか,また環境中にあるこれらのタンパク質によってタンパク質分解酵素活性を変化させるかどうかについて調べることである。P. intermedia ATCC 25611 を嫌気的に培養し,基礎培地,およびそれにアルブミン,ムチンおよびグルコースをそれぞれ添加した培地で培養し,実験を行った。アルブミン,ムチンおよびグルコースを添加した培地で培養したものでは,基礎培地と比較して菌の最大増殖量の有意な増加が見られた。また,アルブミンやムチンを添加した培地で培養した菌では,タンパク質分解酵素活性の有意な増加が見られた。これに対して,グルコースを添加した培地では,逆にタンパク質分解酵素活性が減少する傾向が見られた。以上の結果より,P. intermedia は,口腔内のアルブミンやムチン,グルコースをエネルギー源や,菌体構成物質の材料として利用する可能性を示していると考えられる。また,P. intermedia は,菌体周囲の環境申に存在する利用可能な栄養源の種類の違いによって,そのタンパク質分解酵素活性を変化させていることを示していると考えられる。このような環境への柔軟な対応が,P. intermedia が歯肉縁下からだけでなく,歯肉縁上からも検出される理由の一つではないかと思われる。
- 2000-09-28