歯周炎局所におけるサイトカインおよび誘導型 NO 合成酵素の発現と特定細菌の存在に関する研究

概要

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歯周炎は歯周病関連性細菌により引き起こされる慢性炎症性疾患である。歯周炎の炎症反応または免疫反応において,サイトカインが重要な役割を担っている。本研究は,歯周局所のサイトカインと誘導型NO合成酵素 Gnducible nitric oxide synthase:iNOS)mRNAの発現についてreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)を用いて解析した。さらに歯周局所で高頻度に検出される Porphyromonas. gilegivalis とActinobacillus actinomycetemcomitans の存在をPCRにて検出し,その局所のサイトカインmRNA発現について評価した。歯周炎患者の歯肉組織でinterleukin(IL)-6とiNOSのmRNA発現が健常者の歯肉と比較し統計学的に有意に高かった。IL6はBleeding on probing(BOP)陽性部位で有意な差を認めた。歯肉縁下プラーク中のA. actinomycetemcomitans検出部位でILl-αとIL-8の発現が有意に高く,IL-10の発現は有意に低かった。 P. gilegivalis の存在とサイトカイン発現との間に有意差は認められなかった。以上よりIL6は歯周局所の炎症の指標となりうること,iNOSが歯周炎の炎症反応に関与すること,さらに局所に存在する特定細菌がサイトカイン発現に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆された。
1999-09-28