ePTFE膜を用いて形成された組織の歯槽骨およびセメント質再生能に関する研究 : イヌを用いた歯牙移植における実験的研究
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概要
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本研究の目的は,ポリ四フッ化エチレン膜(ePTFE膜)を応用して再生された組織が歯槽骨およびセメント質再生能を有しているか否かを検索することである。16頭の雑種成犬の32歯を用いた。下顎第三前臼歯近心根(P3M)を除く前臼歯を抜歯し,3カ月間経過させた。その後,P3Mの歯冠部を切除後,根管充填した。粘膜骨膜弁を剥離後,歯根の周囲歯槽骨を水平的に5mm除去し,露出した歯根面をルートプレーニングしてセメント質を除去した。膜で歯根表面を被覆し,粘膜骨膜弁を復位して縫合した。膜で歯根面および歯槽骨の表面を約1mmまで覆った。対照群は,同様の処置を施し,膜で被覆しなかった。4週後,実験群では,膜を除去し,ePTFE膜によって再生された組織(膜組織)を歯根と一塊にして摘出し,歯槽骨体部の骨窩洞内に移植した。対照群は,歯根と膜を応用しなかった組織(非膜組織)を一塊として移植した。移植直前,移植後4,8,16週で安楽死させ,組織標本を作製した。その結果,膜組織では歯槽骨と歯根表面に骨およぴセメント質の再生が認められた。非膜組織では歯槽骨と歯根表面に骨およびセメント質の再生は認められなかった。抗オステオカルシン抗体に対する免疫学的陽性反応は,非膜組織では認められなかったが,膜組織では認められた。以上の結果より,ePTFE膜を応用し再生された組織は,骨およびセメント質再生能を有することが示唆された。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1999-09-28
著者
-
杉戸 博記
東京歯科大学学会歯科学報編集委員会
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杉戸 博記
東歯大・保存II
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杉戸 博記
東京歯科大学歯科保存学第二講座
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杉戸 博記
東京歯科大学大学院歯学研究科歯科保存学第二講座
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杉戸 博記
東京歯科大学千葉病院総合診療科
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