共焦点レーザー顕微鏡を用いた実験的歯の移動時におけるラット歯髄内に分布する PGP 9.5 および b-FGF の免疫組織学的観察
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概要
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矯正治療に伴う歯の移動が歯髄神経に及ぼす影響を知る目的で, 歯の移動開始後1, 2, 3, 5, 7日におけるラット上顎第一臼歯遠心咬頭歯髄内に分布するProtein Gene Product 9.5 (PGP 9.5)およびbasic-Fibroblast Growth Factor (b-FGF)の変化を, コンフォーカルレーザー走査顕微鏡を用いて観察した.そしてさらに, 同領域内における分布量を定量的に比較検討した.歯の移動はwaldoの方法に準じて行った.PGP 9.5免疫反応性は, 歯の移動開始1日後の歯髄神経においてその反応が最も低下する傾向を示し, その傾向は末梢側程大きかった.免疫反応性は, 7日目には対照側とほぼ同様の状態まで回復していた.一方, 末梢血管周囲に認められるb-FGF免疫反応性も, PGP 9.5免疫反応陽性神経線維と同様に, 移動開始後1日目にその反応が最も低下していた.b-FGFには神経維持, 伸展効果があることが最近示されていることより, 今回の条件における歯の移動では, 移動初期段階に歯髄神経および末梢血管は矯正力による影響を受け, 神経線維の修復時に, 血管内被細胞から分泌されるb-FGFによる活性促進作用を受ている可能性が示唆された.