ラット顔面頭蓋の成長に及ぼす姿勢の影響 : 頭部 X 線規格写真による縦断的分析
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概要
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長期の姿勢の変化が顔面頭蓋の発育に及ぼす影響を明らかにするために, 80匹のウイスター系雄ラットを25日齢で実験群2群(E1, E2)と対照群(C), 正常群(N)各20匹に分け, それぞれ異なる姿勢で60日間飼育した.E1群とE2群は頭部を伸展させるために狭い円柱状のかごに入れ, E1群のかごは水平に, E2のかごは45°上向きに傾けて設置した.C群は実験群より高に余裕のある楕円柱状のかごに入れて頭部を伸展しない姿勢で飼育した.N群は通常のケージの中で自由な姿勢で飼育した.姿勢と顔面頭蓋の成長変化を評価するため, 25日齢, 55日齢, 85日齢で全身のX線写真と頭部X線規格写真を撮影した.85日齢で, 体重に対する頭頸部の筋の重量比を求めた.姿勢について, E1, E2両群とも頭部が伸展していた.E2群では頭頸部筋の重量比が有意に大きかった.C群に比べて実験群では顔面頭蓋の成長低下が認められた.E1群では顔面頭蓋の前後径と高径が有意に小さく, 切歯は舌側傾斜していた.E2群では顔面頭蓋が後下方へ回転していた.頭部の伸展は顔面頭蓋前方部への張力を生じ, 機能的な構成要素の活動を変化させて, 顔面頭蓋の形態と成長パターンに影響を及ぼすことが示唆された.