フィッティング処理を用いた下顎骨形態の三次元構築に関する研究
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概要
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本研究の目的は, 被験者のセファログラム上の指標点や輪郭線から算出される三次元座標値を用いて下顎骨形態モデルをフィッティング処理し, 被験者の下顎骨形態を三次元構築した結果をコンピュータグラフィックスとして出力することである.また, 構築した下顎骨形態の適合についても検討した.下顎骨の三次元構築は, 以下の手順により行った.1. ヒト乾燥下顎骨を基にして下顎骨形態原形モデルを構築する.このモデルは被験者を問わず共通して使用され, 下顎体部26層, 左右下顎枝部各20層の計66層(以下, レイヤー)からなる.また, 各レイヤーは変形形状を設定するための座標点(以下, 変形中心点)を有する.2. 4方向から撮影された被験者セファログラム(正面, 側面, 左右斜位)の指標点や輪郭線から, 変形中心点に対応する座標点(以下, 変形基準点)を算出する.3. 下顎骨形態原形モデルの変形中心点と2.で得られた変形基準点が一致するように, 各レイヤーの座標値(以下, レイヤーデータ)をフィッティング処理する.4. 各レイヤーデータを三次元座標値に変換し, 被験者の下顎骨形態を三次元コンピュータグラフィックスとして出力する.本手法により, 被験者のセファログラムから下顎骨形態を三次元構築でき, 結果をコンピュータグラフィックスで表示することができた.フィッティング処理についての適合を統計的に調べた結果, 寄与率は下顎体部が0.925, 下顎枝部が0.817, 下顎骨全体が0.918で危険率1%以下で有意であり, 本手法の有用性が示された.