頚部の筋がラット顎顔面の成長発育に与える影響について : 胸鎖乳突筋切除による
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概要
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本研究の目的は, 頚部の代表的な筋の左右的な不均衡がラット顎顔面の成長に及ぼす影響を調べることである.181匹の3週齢F344/Jcl系ラットを以下の3群に無作為に分けた.1) 実験群 : 左側胸鎖乳突筋の剖出・切除したもの.2) 偽手術群(Sham群) : 左側胸鎖乳突筋の剖出のみを行ったもの.3) 対照群 : 外科処置を行わなかったもの.観察時期は7・11・15週齢とし, それぞれで顎顔面形態・下顎頭形態および咬筋・側頭筋の乾燥重量を計測した.各計測項目について群間, および群内の左右差の比較を統計学的に検討した.頭部エックス線規格写真の計測結果より, 頭蓋骨では対照群とSham群には有意な差は認められなかったが, 実験群には鼻鏡部の手術側への偏位が認められ, 15週齢ではそれが有意な差となった(p<0.01).しかし, 下顎骨には各群間に有意な差は認められなかった.さらに咬筋・側頭筋乾燥重量, 下顎頭形態にもいずれの観察時期にも差は認められなかった.以上のことより, 頚部の筋の不均衡はラット顎顔面の成長には影響するが, 下顎骨・下顎頭形態には影響しないことが示唆された.