12. パノラマ断層撮影法における上顎洞粘膜肥厚の検出能と限界

概要

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〔背景〕パノラマ断層撮影法(以下パノラマと略す)に置ける上顎洞疾患の画像診断能については賛否両論がある。また,実際の診療の現場においても上顎洞の粘膜肥厚などの有無についてパノラマで診断を行う際に苦慮することが多々ある。そこで,本研究はパノラマの上顎洞疾患の検出能とその限界を把握することを目的とした。〔対象および方法〕平成8年から平成13年の間に当科を受診した患者のうちパノラマ撮影後3日以内にCT撮影を行った患者47人(94上顎洞)を対象とした。上顎洞内の病態を「異常なし」「粘膜肥厚」「ドーム状不透過像」「充満像」「液面形成」に5分類し,パノラマおよびCT画像の分析を行った。CT画像所見をgold standardとして,パノラマを読影した場合の各診断能を求めた。〔結果〕パノラマの各病態に対する正診率は,「粘膜肥厚」「ドーム状不透過像」は約80%であったが,「異常なし」「充満像」「液面形成」については約65%であった。また,上顎洞内の病態にかかわらず病変の有無のみを診断した場合の各診断能は以下のごとくであった。敏感度は91.5%,特異度は62.9%,陽性適中度は80.1%,陰性適中度は81.5%であった。〔考察〕パノラマで上顎洞病変を診断するは限界があると考えられる。特に,パノラマでは偽陽性となる率が約40%もあり注意を要する。これは硬口蓋や軟口蓋,下鼻甲介,含気空洞などの陰影が診断の妨げになっているのではないかと思われる。
福岡歯科大学学会の論文
2001-12-30

12. パノラマ断層撮影法における上顎洞粘膜肥厚の検出能と限界

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