正常ヒト滑膜細胞におけるmatrix metalloproteinasesの発現に対するヒアルロン酸の影響

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【目的】滑膜細胞は、種々のmatrix metalloproteinases(MMPs)を産生し、炎症性関節病変の骨・軟骨破壊に深く関与するとされる。一方、ヒアルロン酸.(Hyaluronic acid :HA)は関節液中に多く含まれ、関節潤滑の維持に寄与するほか様々な作用を持つとされるがその生理的な役割は不明な点も多い。今回我々は、正常ヒト滑膜細胞におけるMMPsの発現に対するHAの影響を検討したので報告する。【方法】培養正常ヒト滑膜細胞を3.6×10^4 cell/cm^2の密度で播種し、分子量90万の高分子HAを1,10,100,1000μg/mlの濃度で添加した。また無添加群をコントロールとした。12,24,48時間後にtotal RNAを抽出し、MMP-1,-2,-3および-9のmRNAの発現を定量的PCR法により解析した。【結果】無添加対照群と比較し、1.10μg/ml HA添加群では、添加後24時間をピークにMMP-1,-2,-3のmRNAの発現の亢進が観察された。48時間では抑制傾向が認められた。100,1000mg/ml HA添加群では、添加後12時間でMMP-1,-2,-3のmRNAの発現の亢進が観察され、その後抑制傾向を示した。全ての群でMMP-9mRNAは検出されなかった。【結論】HA添加群では、無添加対照群と比較し、滑膜細胞におけるMMP-1,-2,-3のmRNAの発現は一過性に亢進したのち抑制され、高分子HAはMMPsのmRNAの発現動態に影響を及ぼすことが示唆された。
日本結合組織学会の論文

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