附子は薬の効きをよくする : 附子の相乗作用仮説
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概要
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治療に際し処方の効きが鈍いとき,少量の附子を加えると効果を著しく高めた。これは附子と薬との相乗効果の結果と思った。その解明のため自験例と古典の記載を分析し考察を加えた。第1例は22歳女性の紅斑性狼瘡で小柴胡湯合当帰芍薬散に附子1gを追加し6週間で紅斑が消えた。第2例は25歳女性のニキビで当帰芍薬散+補中益気湯に附子末1gを追加して8週間でニキビが治った。第3例は44歳男性で慢性微熱に補中益気湯に附子末2gを加えて6週間で治癒した。附子はどんな症状に効果的なのか。3症例には冷えは認めずむしろ熱のある例も含まれた。また症状はまちまちで一定の傾向がなかった。そこで症例を増せば大凡の傾向が出るものか,古典の附子加味の例を集め分析した。すると症状は陰陽虚実,気血水で見ても,自験例と同様に,様々であった。この結果を説明するに,多様な症状に応じ附子に各の効能を想定すると,多数の効能が必要となりそれは不自然である。そこで附子は,分量が少なくそれ目体の効果は少ないが,組む相手薬の効能を高めると仮定すると,説明し易いことを示した。以上の議論を集約し,附子の働きには薬への感受性を高める間接効果即ち相乗効果と,四逆湯のような熱薬としての直接効果との,2通りの様式があることを述べた。最後に附子加味の臨床に有用な事柄を古典をもとに纏めた。
- 社団法人日本東洋医学会の論文
- 2002-05-20