老人病院と特別養護老人ホームにおけるいじめの実態 : いじめの予測について

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本研究は老人病院と特別養護老人ホームにおけるいじめられ意識に関連する因子とその重み(オッズ比), さらにいじめの実態を明らかにし対比することにより, いわゆる長期療養型施設における老人のいじめを予防するためのより簡便な予測因子を導くことと, 信頼性の高い資料を得ることを目的に行った。その結果, 老人病院におけるいじめられ意識の経験は19.0%, いじめ意識の経験は3.0%であった。特別養護老人ホームにおけるいじめられ意識の経験は29.4%, いじめ意識の経験は15.3%であった。「誰にいじめられたか」の質問に対し, 患者ないし入所者にいじめられたと答えた者が, 老人病院で53.3%, 特別養護老人ホームで56.5%, 介護者と答えた者は前者26.7%, 後者17.3%であり, いじめ意識以外は概ね同様の傾向が認められた。多重ロジスティックモデルによる解析において, いじめられ意識に有意に影響した因子(オッズ比)は, 老人病院では性格的に気が強く(16.7), Zungの自己評価抑鬱尺度(Self-rating Depression Scale)が高値(3.9)であった。また, 特別養護老人ホームではZungの自己評価抑鬱尺度(Self-rating Depression Scale)が高値(2.5)のみであった。したがって抑鬱が老人病院, 特別養護老人ホームに共通していじめられ意識の関連要因となっていた。上記の結果より, 長期療養型施設における老人のいじめ問題に対する適切な対応の必要性と, いじめられ意識を有する者を予測しうる可能性が示唆された。
社団法人日本理学療法士協会の論文
2000-05-31

老人病院と特別養護老人ホームにおけるいじめの実態 : いじめの予測について

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