青函トンネルの安全を守る(安全と信頼とリスク : 安全・安心な社会を目指して)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
青函トンネルは延長が53.85kmと極めて長大であること,さらに海底下のトンネルであること等から,輸送の安全を確保するため,万全の防災対策を施す必要がある.特に青函トンネルでは,大量の湧水と万一の火災に対する対策が重要になる.トンネル内において列車火災が発生した場合,基本的には,通過可能であれば列車はトンネルを走行脱出し旅客等を安全な地域に誘導するのがもっとも良いと考えられている.しかし,全長54kmの青函トンネルにおいては,火災の状況によっては列車がトンネル内に停車せざるを得ない可能性もある.そのため,トンネル内に「定点」と称する特別に定めた設備を設け,ここに火災列車を停止させ乗客の避難,誘導と合わせて消火活動も行えるようにした.同トンネルでは2箇所に「定点」を設置して,トンネルを3つに分割することにより在来トンネルと同程度の火災時の安全性を確保することとした.また,湧水に対しては竜飛側と吉岡側に大型の排水ポンプを多重系で配置し,何れかが停止した場合にも排水を可能とするほか,機器の状態を常時監視して万一に備えている.本稿では,青函トンネルの安全を守る各種設備について紹介する.
- 2004-09-01