シート角度が立ち上がり動作時の体幹前傾に及ぼす影響
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概要
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本研究の目的は,椅子のシート角度が立ち上がり動作時の体幹前傾に及ぼす影響を明らかにすることである。対象は18〜29(平均年齢20.8±2.9)歳の健常若年者52名(男26,女26)である。椅子のシート角度は後傾10度,後傾5度,水平O度,前傾5度および前傾10度の5条件とした。立ち上がり動作時の体幹前傾角度,下腿角度および立ち上がり動作時間を計測した。計測と解析には,2次元動画解析システムを用いた。その結果,体幹前傾角度は水平O度に比べて後傾位で有意に増大,前傾位で有意に減少した。下腿角度は水平O度に比べて後傾位で有意に減少,前傾位で有意に増大した。立ち上がり動作時間は水平O度に比べて後傾位で有意に延長した。体幹前傾角度と下腿角度とでは有意の負の相関,体幹前傾角度と立ち上がり動作時間とでは有意の正の相関が認められた。シート角度の後傾によって,立ち上がり動作時に体幹前傾角度が増大することが明らかとなった。シート角度の後傾がもたらす体幹前傾角度の増大は高齢者や片麻疹者の車いすからベッドや洋式便器への移乗などにおいて,立ち上がり動作を必要とする日常生活活動を制限する可能性があると推測された。そのような困難性を解消するためには,シート角度を動作目的に応じて調整する必要性のあることが示唆された。
- 社団法人日本理学療法士協会の論文
- 2004-02-20
著者
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