体外循環下に血行再建を行った急性上腸間膜動脈塞栓症による腹部anginaの1治験例
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概要
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腹部anginaは比較的希な疾患であり,大半が腹部内臓血管の慢性閉塞,狭窄が原因で起こる.今回われわれは,上腸間膜動脈塞栓症を契機に腹部anginaを発症した症例に対し,体外循環下に血行再建術を行い良好な結果を得た1例を経験した.症例は89歳,男性で,以前より発作性心房細動を指摘されていた.左前腕の突然の疼痛を主訴に当院に緊急入院となった.血管造影検査で左上腕動脈塞栓症の診断で緊急血栓除去術を施行した.術翌日より食事を開始したが,食事後に起こる腹痛,嘔吐をくり返したため腹部CTと腹部血管造影検査を施行した.上腸間膜動脈は根部より完全閉塞し,下腸間膜動脈からの側副血行路で造影されていた.腹部anginaと診断,手術を施行した.術中所見で,上腸間膜動脈根部は動脈硬化性病変が著明なため直達手術はあきらめ,大伏在静脈を用いてバイパスする方針とした.下腸間膜動脈の血流維持のため大伏在静脈中枢吻合時に体外循環を用いた.腹部angina発症のメカニズムとして,上腸間膜動脈に器質的な狭窄病変が存在していたため側副血行路が発達していたところに塞栓症が生じたことが考えられた.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2004-05-15
著者
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