妊娠診断に於ける日本産蛙の使用に関する研究 : IV.HCG,PMS以外の原因に依るトノサマ蛙の排精について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
著者と村松4)は別誌に於て同じ題目に関し報告した.即ちROBBINS等5)と同様アドレナリンに依り排精が起され,市販のEpirenaminhydroch10ride1000倍溶液を注射直前に更に10~500倍に稀釈して,0.1~1.0ccをトノサマ蛙に注射すると排精が見られ之の反応は5月に於で敏感で夏季には鈍感になる.一度排精した蛙に5~6日後に同量のアドレナリンを再注射した結果はHCGの再注射と同様に其の陽性率は約70%に減少すること,更に冬眠期中の蛙に於で1例であるが死の直前に筋肉の痙れんを伴う排精が見られた事,又,腹腔内に3cc,腹リンパ腔に6cc,背リンパ腔に7cc,背腹リンパ腔に各4cc(合計8cc),腹腔,背腹リンパ腔に各1.5cc,2.0cc,1.5cc同時注射(合計5cc)等,多量の水を,トノサマ蛙に注射すると10匹中1~2匹程度の割合で排精するから,その様な多量の被検液を注射する事は注意すべきであること,次で懸滴標本の1滴中に1ヶの精子を認める程度のもの(1/Pを以て示す)は繁殖季以外に於でも稀に注射前に見受けられる.又HCG或はPMSの注射で陰性と見な すべき注射量の動物群に於ても1/Pの例が稀に見られるから之の様な場合は疑反応として再検査することが適当であること,尚又,エーテル排精は110匹中3匹に於で観察された(之は其の後の反復実験により100匹中約40%に認められた)こと等に就で報告した.其の後の実験によって次の3つの新しい所見を得た,1.Hjstaminedjhydroch10rideを蛙の体重1gにつき1mgの割合で注射すると5時間以内に半数以上の蛙に於て排精が認められた.随伴症状として後足の麻痺が見られ.排出精子数は概してアドレナリン,HCG及びPMSに比較して少数であった.2.BANIK等6)の方法により作った牛糞抽出物は蛙の排精を誘起したが,之の反応は流産の翌日の牛,難産の後発情が弱く種付しない牛,及び発情の翌日の牛に於でも同程度に観察され,妊娠の特異反応とは考えられない(Tablel).3. Dehych01 (sodiumdehydrocholate solu-tion)の注射では神保等7)の言う様な著明な排精は認められず,自発的に排出されていた精子がDehy一cholの利尿作用によって尿路な通って排泄腔に運ばれたものと思考される(TaI)1e2).
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1958-08-30
著者
関連論文
- 50 2,3の器官に見られたSulphation metachromasia
- 妊娠診断に於ける日本産蛙の使用に関する研究 : VI. 蛙の排精機構に関する in vitro実験並びに組織学的研究
- 妊娠診断に於ける日本産蛙の使用に関する研究 : V.蛙排精誘起物質とマウス生殖腺刺激物質の相関関係についての2,3の実験並びに蛙下垂体腺葉の組織学的研究
- 161. 牛糞等に依る蛙排精の機構に関する研究 : II. in vitro 試験と睾丸の組織学的所見 (第45回日本獣医学会記事)
- 妊娠診断に於ける日本産蛙の使用に関する研究 : IV.HCG,PMS以外の原因に依るトノサマ蛙の排精について
- 姙娠診断に於ける日本産蛙の使用に關する研究 : II. トノサマ蛙の自發的射精及び尿Prolanに對する感度の季節的消長について
- 11. 妊娠診断に於ける日本産蛙の使用に関する研究 : III. Prolan 以外の原因に依る雄トノサマ蛙の射精について (第30回日本獸医学会記事)
- 14. 家畜脳下垂体の起蛙射精作用について (第32回日本獸医学会記事)
- 13. プロラン等に依る蛙射精の形態学的観察 : I. トノサマ蛙の精管の構造に就て (第32回日本獸医学会記事)
- 9. 妊娠診断に於ける日本産蛙の使用に関する研究 : IV. 雄トノサマ蛙に依る馬の妊娠診断に就いて (第31回日本獸医学会記事)
- 姙娠診断に於ける日本産蛙の使用に關する研究 : III. 雄トノサマ蛙に依る馬の姙娠診斷について
- 妊娠診斷ニ於ケル日本産蛙ノ使用ニ關スル研究 : I. 冬眠期前ノ雄トノサマ蛙ノ使用ニ就テ