鶏における腎門脈循環系
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概要
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腎門脈弁におよぼす薬物の影響をinvivoで研究した報告は皆無であるばかりでなく,血流を直接的方法で測定した報告もない.鶏において,とくに尾腸間膜静脈(CMV)の血流量とその方向を決定することは,これまでの血流循環系分野の最大の関心事の一つであった.従って,著者らは,実験材料として白色レグホーンの雄を選び,麻酔下で電磁血流計を用いて,CMVの血流の方向を調べ,CMVおよび後大静脈(IVC)の血流量を測定した.また同時に心拍数および頚動脈血圧も測定した.10μg/kgのnorepinephrinc(NE)ならびに0.1mg/kgのacctylcholine(Ach)を翼下静脈に注射して,血流量およびCMVの血流方向の変化から,腎門脈弁に対する薬物の作用を研究することが,本実験の目的である.IVCの血流量は,心拍数の増加に伴い増加する傾向があったが,NE注射後,血流量には有意の差は認められなかった.CMVの血流は,注射前,′肝臓に流れる場合(腎門弁が閉鎖していると考えられる)と,腎臓に流れる場合(腎門弁は開放状態)とがあった.NE注射により,前者では,すべて腎誠の方向へ血流が逆流し,後者では,腎誠の方向へ血流量がさらに増加したのが,70%であった.この結果から,NEはinvivoにおいても,腎門弁を開放する影響を及ぼすものと考えられる.一方,Ach注射により,動脈血圧,心拍数およびIVCの血流量はすべて減少した.CMVの血流量には,一定の結論が出せる影響は認められなかった.従って,invitroの実験結果のように,Achがinvivoでも腎門弁を閉鎖する作用を及ぼすのかどうかは不明であった.
- 1973-02-25
著者
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島田 清司
Division Of Physiology Department Of Animal Sciences College Of Agriculture And Environmental Scienc
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STURKIE Paul
Division of Physiology,Department of Animal Sciences,College of Agriculture and Environmental Scienc
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Sturkie Paul
Division Of Physiology Department Of Animal Sciences College Of Agriculture And Environmental Scienc
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Sturkie P
Division of Physiology,Department of Animal Sciences,College of Agriculture and Environmental Sciences,Rutgers-The State University