緑膿菌感染による馬の角膜潰瘍に対するOEPワクチン, プロテアーゼトキソイド, エラスターゼトキソイドの免疫効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
緑膿菌感染による馬の角膜潰瘍を予防する目的でOEP, プロテアーゼトキソイド, エラスターゼトキソイドからなる Multi-component vaccine を馬に応用した. ワクチン接種をした馬は極めて良好な抗体を産生し, 抗体が十分に産生されたところで感染防御試験を行った. ワクチン接種馬2頭と非ワクチン接種馬2頭の角膜に傷をつけ,そこにプロテアーゼとエラスターゼを産生する緑膿菌IFO 3455株の5.2×10^7/mlを滴下し, 感染によって起る角膜障害を無加療のまま6日間にわたって観察した. ワクチン接種をした1頭は軽い糜爛を呈しただけで間もなく治癒した. 他の1頭は軽度の潰瘍を発症したが, その潰瘍は上皮部分にとどまり, 周囲からも限局したままで悪化することもなく, 観察期間の終期には良化傾向が観察された. これに対して, 対照とした非ワクチン接種馬2頭は, いずれも重度の角膜潰瘍と膿瘍を発症して失明した. このことから Multi-component vaccine は緑膿菌感染による馬の角膜潰瘍にも有効であることが判明した. また, 対照とした非ワクチン接種馬から, 緑膿菌感染による角膜潰瘍と膿瘍の進行過程を詳細に捕えることができた. すなわち, 角膜外傷部は感染によって糜爛し, 次いで小潰瘍に移行する. その潰瘍の外周には上皮剥離部が形成され, その翌日にはこの上皮の剥離した部分に潰瘍が形成される. 再び, その外周に上皮剥離部が形成され, 膿瘍がこれを追いかけるように拡大していった. このような進行過程の詳細は野外例における病勢, あるいは予後判定に有意義であろう.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1982-04-25
著者
関連論文
- 馬糞から分離した緑膿菌の血清型別,Protease,Elastase,Exotoxin産生能および薬剤感受性
- 馬の実験的緑膿菌感染による角膜潰瘍に対する免疫グロブリンの角膜内注射による治療効果
- 緑膿菌感染による馬の角膜潰瘍に対するOEPワクチン, プロテアーゼトキソイド, エラスターゼトキソイドの免疫効果
- IgE Antibody Production to Elastase Toxoid of Pseudomonas aeruginosa in Mice
- Infection Protective Property of the Common Antigen(OEP) of Pseudomonas Aeruginosa and Its Chemical Composition
- 緑膿菌内毒素蛋白部分の構造と生物活性 (細菌毒素研究--最近の歩み) -- (細菌内毒素)
- 酵素免疫測定法とその応用 (緑膿菌感染症の基礎と臨床) -- (基礎)
- Designation of the Thirteen O-group Antigens of Pseudomonas aeruginosa;An Amendment for the Tentative Proposal in 1976
- 緑膿菌内毒素の生物活性と化学構造
- 内毒素の活性中心(リピドA)の研究 : 化学構造と生物活性相関の観点から