研究展望 : 経済物理学と経済学の革新(<論文特集>「エコノフィジックス」)
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概要
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フランク-クック著『ウィナー・テイク・オール』は,20世紀末の市場経済の所得や資産分布にはあからさまに「フラクタルな性質」が働き,その結果として資源浪費など社会に大きな歪みが生じることを説得的に実証した.この実証分析はちょうど経済物理学によって病因を特定化されるのである.すなわち,スケーリング則と臨界現象(大きなゆらぎ)である.一方,サンタフェ複雑系経済学は,産業に「一人勝ちの企業」が出現する状況を収益逓増の観点から分析し,それが自己強化機構と経路依存効果によって発生することを看取した.経済物理学もサンタフェ経済学も研究対象は異なるが,ウィナー・テイク・オールに象徴される現代の「共通の性質」について,どちらもミクロ個人主義的方法論から離れて確率過程に新たな特徴づけを見出したのである.
- 日本シミュレーション学会の論文
- 2002-06-15
著者
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