温室におけるプレチラクロールのイネとタイヌビエに対する除草活性の検討
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概要
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イネとタイヌビエの葉齢,播種および移植深度,漏水量,植物に対する処理部位などを変えた時のプレチラクロールの除草活性を温室内試験により調査し,プレチラクロールのイネ・タイヌビエ間の選択性機構について考察した。1) 直播イネに対するプレチラクロールの活性は播種深が小さい時に大きかった。タイヌビエに対する活性は播種深の影響を受けなかった (Fig. 1および2)。2) 地表および5mmの深さに播種したイネに対する活性は葉齢の進展に伴い低下したが,その低下の程度はタイヌビエのそれより大きかった。1.5〜2.0葉期にそれらの間の選択性は最大になったが,依然として実用的には不十分な大きさであった。3) 移植イネに対して実用的に高い安全性が認められた。しかし,移植深が極端に浅い場合 (Table 1) と縦浸透水量が大きい場合 (Table 2) にプレチラクロールの活性は大きくなった。湛水深はその活性に対して影響が極めて小さかった (Table 3)。4) タイヌビエに対する活性に対する湛水深 (Table 4) と縦浸透水量 (Table 5) の影響は小さかった。5) 出芽時の処理層と播種部位の関係を見ると,イネに対してはSeed処理,タイヌビエに対してはShoot処理の活性が高く,Shoot処理のみで両植物間に選択性があった (Fig. 3および4)。6) 2.0葉期のイネに対する全面処理 (土壌処理と茎葉処理の組合せ) の活性は土壌処理のそれと同程度で,茎葉処理の活性は認められなかった (Fig. 5)。2.2葉期のタイヌビエに対する全面処理の活性は土壌処理のそれよりごく僅かに大きく,茎葉処理の活性は小さかった (Fig. 5)。以上の結果から,プレチラクロールの移植イネとタイヌビエ間の選択性は,主に"位置選択性"(3) と作物・雑草間の齢 (生育ステージ・大きさ) の差異に基づいており,加えて,それら植物間の"生理的選択性"と茎葉処理活性の差異も関与している,と結論した。更に,イネの地下部 (稈基部と根部) とプレチラクロールとの接触の程度が大きい場合のみにその活性が大きくなり,イネ茎葉部との接触は活性の発現に関して影響の少ないものと判断された。
- 日本雑草学会の論文
- 1990-07-27
著者
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