ラット結腸における異常クリプト巣の悪性化に関する粘液組織化学的検討
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概要
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1, 2-dimethylhydrazineでラットの遠位部結腸に誘発した5個以下のクリプトからなる異常クリプト巣(ACF), 6から13個のクリプトからなるACF, 腺腫および腺癌について, それらの粘液性状の変化から悪性化とACFクリプト数の増加との関連を検討した.杯細胞型ムチンを調べるために, これらの病変についてコンカナバリンAパラドックス染色を行った.スルホムチン優位な1から3個のクリプトからなるACFでは, 正常ラットと同様の不安定なIII型ムチンが, 82.6%にみられた.しかし, 4ないし5個のクリプトからなるACFあるいはシアロムチン優位な1から3個のクリプトからなるACFでは, そのほとんどがI型ムチン以外の粘液型を混在しなかった.I型ムチンの出現頻度は, ACFのクリプト数の増加と腫瘍性病変の組織学的悪性化の程度に伴なって減少し, 腺癌では40%と最も低かった.逆にII型ムチンの出現頻度はクリプト数の増加あるいは組織学的悪性化の程度により著しく増加し, 腺癌では最も出現頻度が高かった(95%).6から13個のクリプトからなるACFの粘液性状は, 腺腫と類似の出現パターンを示した.これらの結果から, ACFの悪性化はそれを構成するクリプト数の増加と関連することが示唆された.また, 1から3個のクリプトからなるACFにおいても, シアロムチン優位なものは悪性病変に進展する可能性がみられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2001-02-25
著者
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尾上 正治
株式会社ヤクルト本社中央研究所
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内田 和美
ヤクルト中央研究所
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尾上 正治
ヤクルト中央研究所
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内田 和美
(株)ヤクルト本社中央研究所
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角 将一
(株)ヤクルト本社中央研究所
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安藤 稔
(株)ヤクルト本社中央研究所
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永田 百合子
(株)ヤクルト本社中央研究所
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高木 陽光
(株)ヤクルト本社中央研究所
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尾上 正治
(株)ヤクルト本社中央研究所
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