Methimazole, SpironolactoneおよびPhenobarbitalにより誘発されたマーモセット(Callithrix jacchus)の甲状腺機能亢進:病理形態, 血中甲状腺ホルモン濃度および肝T_4代謝
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概要
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マーモセットにおいて, 甲状腺ホルモンの合成阻害および代謝亢進による薬物誘発性の甲状腺機能亢進について検討した.methimazole(MMI)10および30mg / kg / day, spironolactone(SPL)30および100mg / kg / dayならびにphenobarbital(PB)50mg / kg / dayを雄に4週間反復経口投与した.MMI投与により, 有意な血中thyroxin(T_4)濃度の低下を伴った明らかな濾胞上皮細胞の肥大が認められた.肥大した上皮細胞は, 拡張した粗面小胞体および再吸収コロイドに富み, 濾胞腔面は発達した微絨毛で覆われていた.また, コロイドにはT4免疫染色陽性の空胞が多数観察された.SPLおよびPB投与例では, 有意な肝ミクロソームのcytochrome P-450量の増加およびT_4 UDPGT活性の増加傾向と共に, MMI投与例と同様の組織学的変化が認められた.しかし, その程度はMMI投与例のものに比べ軽度であり, 明らかな血中thyroxin(T_4)濃度の低下も認められなかった.また, SPLおよびPB投与の少数例では顕著な甲状腺重量の増加が認められたが, 本変化は休止期を示す濾法の拡張に起因するものであった.以上, マーモセットでは, MMI投与によるT_4合成阻害のみならずSPLあるいはPB投与による肝でのT4代謝亢進によると考えられる甲状腺濾胞の活性化が観察された.しかし, SPLあるいはPB投与例では血中T_4濃度は正常に維持されており, それらの影響はMMIに比べ軽度であった.
- 2000-06-25
著者
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涌生 ゆみ
(株)三菱化成安全科学研究所
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井上 芳巳
三菱東京製薬(株)横浜研究所
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田中 啓介
三菱東京製薬(株)臨床開発部
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倉田 祥正
(株)三菱化学安全科学研究所
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涌生 ゆみ
(株)三菱化学安全科学研究所
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牧之段 太志
(株)三菱化学安全科学研究所
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