OLETFラットの糖尿病性腎症発症機序の検討
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概要
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OLETFラットに蛋白負荷を行ない腎症の進展とその発症機序について検討した.実験には雄性OLETF,LETO,F344およびBNラットを用い,5週齢から30週齢まで実験をおこない,体重,摂餌量,経口ブドウ糖負荷試験,尿蛋白量,尿アルブミン量,腎糸球体濾過量(GFR),腎重量,光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察をおこなった.OLETFラットの蛋白負荷群は対照群に比して体重と血糖が低下した.OLETFラットの蛋白負荷群の尿蛋白量は対照群に比して生後20週齢以上で有意に増加した.OLETFラットの両群ともGFRは他系統に比べ高値であったが,蛋白負荷群と対照群の間に有意差を認めなかった.しかしながら腎糸球体肥大と腎重量はいずれの系統とも蛋白負荷群で増加したが,有意的な変化を示したのはOLETFラットのみであった.生後30週齢での電子顕微鏡観察でOLETFラットの蛋白負荷群は対照群に比べて腎糸球体基底膜の陰性荷電粒子は有意に減少し,足突起は不規則に配列し融合していた.光学顕微鏡観察でもfibrin-capを伴う滲出性病変がOLETFラットの蛋白負荷群で対照群に比して増加した.OLETFラットは蛋白負荷することにより,30週齢で糖尿病は改善しているにも関わらず腎症の進展が認められたことから,OLETFラットの腎症進展には血糖コントロールばかりでなく蛋白の摂取が重要な要因であることが明らかにされた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
著者
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満 志偉
大塚製薬(株)徳島研究所
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名取 孝
大塚製薬(株)徳島研究所
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満 志偉
大塚製薬株式会社徳島研究所
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河野 一弥
大塚製薬(株)徳島研究所
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森 茂人
大塚製薬(株)徳島研究所
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平嶋 司
大塚製薬(株)徳島研究所
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河野 一弥
大塚製薬株式会社徳島研究所
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平嶋 司
大塚製薬株式会社徳島研究所
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森 茂人
大塚製薬株式会社徳島研究所
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