鶏胸腺抽出物の伝染性ファブリキウス嚢病ワクチン接種鶏での免疫効果
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概要
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強毒伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)感染に対する免疫応答や防御能への鶏胸腺から得た粗抽出物の効果を1日齢ヒナを用いて検討した. 鶏胸腺抽出物(1mg/kg)を経口投与したヒナでは血清中の総タンパク, アルブミン, グロプリン, トリヨードチロニン(T3), チロキシン(T4)量の著明な増加がみられ, 体重増加率も向上していた. また投与後4週間, 全リンパ球数も増加していた. このような血清中の総タンパク, グロブリン, T4量や全リンパ球数の増加は伝染性ファブリキウス嚢病ワクチンを接種したヒナでも観察されたが, ワクチン接種ヒナでは体重増加率は著明に減少していた. ワクチン接種ヒナに鶏胸腺抽出物を投与すると, グロプリン量の増加や体重増加率の向上とともに, ワクチンの防御能も改善された. さらに鶏胸腺抽出物の投与により, ワクチン接種に起因するファブリキウス嚢, 脾臓, 甲状腺の相対重量の減少も抑えられていた. 鶏胸腺抽出物を投与したワクチン接種ヒナでは強毒IBDVの攻撃に対して100%防御したが, ワクチンのみを接種したものでは80%の防御にとどまった. これらの結果より, 鶏胸腺抽出物が初生ヒナの免疫応答の向上に有用であることが示された. なお, 鶏胸腺抽出物投与ヒナでは著明な抗体価の上昇がみられ, 組織学的にもファブリキウス嚢にリンパ性増生が観察された.
- 1999-07-25
著者
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M. M.
スエズ運河大学獣医学部病理学教室
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Mohamed El-hamamy
Pathology Faculty Of Veterinay Medicine Suez Canal University
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M. A.-F.
スエズ運河大学獣医学部薬理学教室
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M. EL-Shahedy
スエズ運河大学獣医学部微生物学教室
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R. Gehad
マンソール大学獣医学部生化学教室