イヌの陰茎の海綿体系について
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概要
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アクリル樹脂鋳型法を用いて, イヌの陰茎の血管構築を観察した. 観察の対象を, 主に勃起に併う海綿体系の構造上の変化とした. 鋳型標本は勃起状態と非勃起状態のものを作り, 両者を比較し, さらに各海綿体洞の細かい変化を走査型電子顕微鏡で観察した. 犬の陰茎では亀頭は大きく, 著しくよく発達していた. 逆に陰茎海綿体は発達が悪く, 陰茎が勃起状態で膨脹することはなかった. 勃起状態の亀頭の海綿体洞は, 3〜4倍にその口径を増し, さらにその表面にはリング状に走る浅い溝が無数に認められた. これらは通常の組織検査でも認められる海綿体小柱の膠原線維束に相当するものと思われた. 一方, 陰茎海綿体の海綿体洞は, 勃起状態で多少膨脹するが亀頭の海綿体洞程ではなく, 勃起に併う構造上の著しい変化も認められなかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1980-04-25