脱水状態のマウス旁糸球体細胞に関する電子顕微鏡学的研究
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概要
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断水飼育したマウスの旁糸球体細胞(JGC)に生ずる微細形態学的変化を経時的に調べた. 実験3日目のJGCにはゴルジ装置の発達が顕著であり, ゴルジ野には紡錘形, 時に円形の小型顆粒, protogranuleが認められた. Protogranulesには格子幅約90Åの結晶格子構造がみられた. このprotogranulesは単独, あるいは数個融合して成熟した旁糸球体顆粒(JGG)となった. 実験7日目には数個のJGCが融合して出来た不整形, 大型顆粒が認められた. これらの顆粒の中には電子密度の下っているものもみられ, 顆粒の内容物が漏出分泌により分泌される可能性が推定された. しかしJGGの破壊産物と考えられる構造が細胞質内および細胞間隙にも認められたので, 顆粒内容物はexocytosisなどを含む何らかの様式で細胞外に分泌される可能性も示唆された. 旁糸球体細胞の顆粒指数(JGI)値は実験3日目で一旦下ったのち7日目に再び上昇する. JGI値の変動とJGCの微細構造の変化とからJGI値の低下はJGCが主として合成期にあることを示唆し, またJGI値の再上昇は脱水状態下でレニンアン-ギオテンシン-アルドステロン系が働き, レニンの分泌, 合成が共に賦活化された結果, JGGの分泌/合成の比が一定のレベルに落ちついたことを意味するものと考えられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1979-06-25
著者
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