絶食サルにおける消化管内の揮発性脂肪酸およびpHの変動と赤痢菌感染, 発病について
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概要
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絶食群と非絶食群におけるVFA濃度とpHの比較および赤痢発症の有無とVFA濃度との関係を検討し, 以下の成績を得た. 1) 24時間絶食群では, 糞便中のVFA総濃度の有意の減少が認められた(P=0.05). 一方, 非絶食群の24時間間隔で採取した糞便ではVFA総濃度に統計的に有意な変動は認められなかった. これらのサルに赤痢菌を経口投与した場合の発症率は, 非絶食群(2頭/17頭)より絶食群(8頭/11頭)の方が高く, しかも菌投与直前の発症群の糞便中のVFA総濃度は不発症群のそれにくらべて有意に低い値であった. しかし, 発症群と不発症群の菌投与直前のVFA組成比にはほとんど差異が認められなかった. 2) 48時間絶食群の胃, 小腸下部および盲腸内のVFA総濃度は非絶食群のそれらにくらべて約1/3〜2/3の濃度であった(小腸下部ではP=0.01, 胃, 盲腸ではP=0.05). また, 絶食群の大腸内の平均pHは非絶食群のそれらにくらべて高い値を示した. 以上のように, 絶食したサルで, 赤痢菌の増殖と病変形成の場である大腸内のVFA濃度が低下し, かつそれらの部位のPHが高くなったということは, 赤痢菌の発育にとり有利な条件であると思われる. しかし, これらの2つの因子のみでは赤痢菌感染に対する抵抗性の低下を説明するのに不充分であり, さらに他の因子についての検討も必要である.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1978-10-25
著者
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