イヌリンおよびクレアチニンの血漿クリアランスによる正常猫の糸球体濾過量の推定
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概要
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10頭の正常猫を用い, イヌリンとクレアチニンの血漿クリアランス(PC)を測定し, 糸球体濾過量(GFR)を推定した.PCはイヌリンとクレアチニンの静注投与量を血漿消失曲線下面積(AUC)で割って求めた.AUCは最も一般的な薬物動態学的解析法である2-コンパートメントモデルと台形公式を用いて算出した.血漿サンプルは消失曲線が単一指数曲線に達し, 最終血漿サンプル以降の推定曲線下面積(A2)がAUCの1/10より小さくなる時間まで採取する必要がある.そこで, 本研究では最終血漿サンプルを120分, 180分, および240分に設定した場合のAUについて検討した.クレアチニンの消失曲線はこの時間内ではAUC/10>A2を満足せず, PCの指標物質として適していないと考えられた.一方, イヌリンは180分と240分で条件を満足し, PCから推定したGFRは3.61±0.64および3.63±0.67ml/min/kg体重で, 猫の参考値の範囲内にあった.このため, イヌリンのPCは正常猫の糸球体濾過量測定に応用できる可能性が示された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1998-03-25
著者
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