ネコヘルペスウイルス1分離株の制限酵素によるDNA分析
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概要
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ネコヘルペスウイルス1の標準株B927と過去18年間に野外より分離された50株について, これらのウイルスを感染させたネコ胎子細胞からDNAを抽出し, 種々の制限酵素で処理して分析を行った. 得られたDNA断片は, 寒天ゲル電気泳動やサザンブロットにより調べられた. 標準株B927ウイルスDNAは, 感染宿主細胞染色体DNAから区別して分離するため, パルスフィールド電気泳動により分離精製した後, ハイブリダイゼーション用プローブとしては^<32>Pで標識したものを用いた. ほとんどの制限酵素処理によって, ある不明瞭で不均一なバンドもあるが, 多くの分離株は, 移動度の異なる数本のDNA断片のバンドが認められた. ある少数の分離株でBam HI, Cla I, Sac Iの制限酵素を用いた際に特徴的切断パターンを示した. このことから, ネコヘルペスウイルス1には異なった株が存在するが, このようなウイルス遺伝子の変化は, 特発的に起るものであって, 容易に検出されるものではないことが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1990-10-15