鶏胚順化狂犬病ウイルスのマウス感染の様相
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
哺乳動物に対し病原性を減弱した狂犬病ウイルスの鶏胚順化H株の離乳マウスにおける感染の様相をしらべた。強毒の固定および街上ウイルスは, 著明なウイルスの増殖後に感染マウスは死亡したが, 弱毒のHウイルス感染では, 増殖ウイルスは急速に消失し, 多くのマウスが耐過生残した。Hウイルス感染マウス脳には, ウイルス消滅後もCF抗原が証明された。最も弱毒のFl. Hウイルス感染では, ウイルスの増殖は低く, CF抗原も証明されなかった。HおよびFl. Hウィルス感染マウスは, 血中に高い中和およびCF抗体を産生した。Hウイルスの大量を接種したマウスでは, 小量接種マウスに比し, 脳中のウイルス増殖およびその消滅は速く, 血中中和抗体の産生も速かった。小量のHウイルスを接種したマウスでは感染率は低く, 発病も遅延したが, 感染マウスの死亡率は大量接種マウスに比し高かった。しかし, これら死亡マウス脳からウイルスは検出されなかった。Hウイルス感染早期のマウス脳には, ウイルス増殖阻止物質あるいは不完全ウイルス粒子は検出されなかった。Hウイルス感染マウス脳の抗原性, 免疫原性を経時的にしらべると, 感染防御能と, 中和抗体産生能の消長はウイルスのそれと, CF抗体産生能の消長はCF抗原のそれと一致した。
- 1986-08-15