馬伝染性貧血の骨髄における繁殖性病変の超微形態
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概要
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馬伝染性貧血(伝貧)の骨髄における繁殖性病変を構成する細胞の性状を知るため, 12頭の伝貧実験感染馬の骨髄を電顕的に検討した. 感染早期症例では, 繁殖性病変は (1) ヘモチトブラスト, (2) 未熟骨髄細胞 (骨髄芽球, 前骨髄球, 骨髄球), (3) 未熟赤血球造血細胞 (エリトロヘモチトブラスト, 前赤芽球), (4) Mononuclear phagocytic system の細胞 (単芽球およびこれに由来する細胞) および (5) プラズマ系細胞など5系統の造血細胞で構成されていた. ことに未熟骨髄細胞は病変の主構成細胞であった. このような病変は伝貧ウイルス感染に対し, 骨髄造血細胞巣の炎症性および修復反応巣とみなされた. 慢性経過症例では, 繁殖性病変は (1) 多染性赤芽球系細胞 (成熟多染性赤芽球および正染性赤芽球) と (2) 造血幹細胞を包含すると考えられる小リンパ球とで構成されていた. マクロファージを囲むこの多染性赤芽球が病変の主構成細胞で, この病変は伝貧ウイルス持続感染による赤血球溶血に対する赤血球造血巣の増生とみなされた. これらの結果から, 本病は lymphomyeloed 症候病と考えられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1982-08-25
著者
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