大型ピロプラズマ (Babesia ovata) 実験感染牛に対する摘脾およびデキサメサゾン投与の影響
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概要
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大型ピロプラズマ (Babesia ovata) 実験感染牛に対し, 摘脾およびデキサメサゾン(DM)を投与し, その臨床症状と間接蛍光抗体法によって検出される抗体(IFA)との関係を調べた. 摘脾後に凍結保存原虫を皮下接種した9頭では, 非摘脾対照牛4頭に比し, 原虫寄生率は著るしく上昇し, 重度の貧血を呈して5頭が死亡または瀕死期に殺処分された. 摘脾攻撃ののち, DM (0.1 mg/体重kg/日) を1〜4日間投与した8頭はすべて死亡または瀕死期に殺処分された. 以上の死亡または殺処分された13頭では, 耐過牛8頭(非摘脾, 摘脾牛各4頭)に比し, 抗体応答が弱かった. 非摘脾耐過牛2頭に DM (0.1 mg/kg/日)を7日間投与したが, IFA価は変動せず, パラシテミアも認められなかった. しかし, 非摘脾耐過牛3頭を摘脾したところ, IFA価の軽度の低下および軽度のパラシテミアが認められた. うち2頭に DM (0.1または0.15 mg/kg/日)を7または9日間投与したが, 非投与牛に比し, パラシテミアが特に上昇したという所見は得られなかった. 以上の成績について, 大型ピロプラズマ病における液性および細胞性免疫と肝臓の役割の重要性について若干の考察を試みた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1982-02-25
著者
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