培養蚊細胞におけるアカバネウイルスの増殖と持続感染
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概要
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蚊の株化細胞(Singh's Aedes albopictus cell line)を用いて, アカバネウイルスの増殖性についてしらべた. 蚊細胞におけるウイルス増殖曲線は, 6〜7時間の潜伏期後, 指数的に上昇し, 1〜2日後に, 約10^7 PFU/mlの最高値に達することを示した. アカバネウイルス感染により, 脊椎動物系のVeroやHm-Lu-1細胞では著しい細胞変性効果(CPE)がみられたが, 蚊細胞では, CPEは発現されず, 長期間にわたってウイルスが産生された. 培養液相のウイルス価は細胞相のそれより常に約2 log高値を示した. アカバネウイルスの増殖は, 抗アカバネ血清存在下で抑制されること, また産生されるウイルスはアカバネウイルスであることが中和試験により確認された. 感染細胞は容易に継代され, 持続感染系が確立された. 持続感染培養における感染細胞は, 極めて低率であったが, 常にウイルスを放出していた. 持続感染培養より得たウイルスは, 抗原性や病原性については, 原株ウイルスの性状を保持しているようであったが, Vero細胞でのプラック形成において, 小型プラックの比率が増しているのがみられた. 今回の実験成績により, ある種の蚊が, アカバネウイルスのべクターである可能性が示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1981-10-25
著者
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