豚の抗原非特異的細胞障害性リンパ球のin vitroにおける活性の増強
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概要
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豚の末梢血リンパ球および脾リンパ球中にヒトの腫瘍細胞に対して細胞障害性(SCC)を示す細胞が認められ, 非付着性, ナイロンカラム通過性, 抗原およびMHC非特異性などから, NK細胞がその主体と考えられた. SCCは37℃の培養で活性化し, 培養40時間後に最高価を示した. この活性化は非付着性リンパ球単独の培養では認められなかったが, 全単核細胞培養上清添加により上昇した. この培養上清はマウス胸腺細胞をコンカナベリンA刺激により活性化することから, IL-1とIL-2が含まれると考えられた. しかしIFN活性は認められなかった. 37℃培養によるSCC活性化は自己血清ならびに同種血清の添加で抑制され, 豚血清中には豚SCCの活性を調節する因子の存在が考えられた. IFN-γ誘導物質であるOK-432の添加は培養によるSCC活性を増強したが, この効果は付着性細胞非依存性であり, 培養液中にIFN活性を認めた. これらのことから, in vitroにおける豚SCCの活性は, 付着性細胞(主にマクロファージ)の活性化によるIL-1の産生と, IL-1によるIL-2受容体の発現およびIL-2の産生誘導により増強され, また, IFNによってもその活性が上昇すると考えられる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1985-10-15
著者
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小出 英興
日本大学農獣医学部獣医放射線学研究室
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小出 英興
日本大学 生物自然科学部 獣医学科 獣医放射線学 研究室
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高松 治久
日本獣医畜産大学寄生虫病学研究室
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小出 英興
日本大学農獣医学部獣医放射線学教室
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