フィリピンの古典型豚コレラ汚染農場における豚コレラの感染パターン, ワクチンによる制御,及び持続感染の血清学的調査
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概要
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古典型豚コレラが発生した3つの生産一貫経営農場において, 全ての病豚を淘汰し集中的なワクチンプログラムを導入した. 雌雄豚は6ヵ月おきに, 子豚は6と8週齢時にワクチンを接種し, 感染の度合を臨床所見及び血清学的検査によりモニターした. 血清学的検査の結果は臨床所見と一致しており, 汚染農場では高力価の抗体を保有する豚や抗体陽性の豚が多くみられたが, 臨床的に豚コレラがフリーの農場ではワクチン投与による低力価抗体が検出されたのみであった. 今回のワクチネーションでは病状の回復が観察されたが, いずれの農場においても豚コレラを制圧することはできなかった. 全ての農場で, 飼育最終段階でも少数の豚が感染していた. これらの豚は6, 8週齢時のワクチンに十分反応していなかったようであり, ワクチンプログラムに検討の余地がある. また, 感染農場の雌豚では高力価の抗体が検出された. この事はこれらの豚から産まれた子豚では受身免疫の期間がより長くなり, それに伴いワクチン接種の最適時が遅くなることを示している. 豚コレラを制圧するためには, 8週齢時以降のワクチネーションも含めたより集中的なワクチンプログラムの導入の必要性が示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1995-10-15